事案の内容は、次の通りです。
医学博士のCは、主婦の友社が発行する雑誌「健康」平成13年9月号に、「【あまめしば】はどんな野菜か」という題の記事を掲載した。
この記事の中で、Cは、アダプトゲン製薬が製造し、ASTCが販売にかかる加工食品「Dのあまめしば」(本件あまめしば)を紹介した。その際、Cは、本件あまめしばの危険性を示さずに効用のみを紹介した。
これを読んだ複数の読者が本件あまめしばを購入・摂取したところ、閉塞性細気管支炎等の呼吸器機能障害を発症した。
そこで、この読者たちが、アダプトゲン製薬に対して製造物責任法(PL法)3条による損害賠償、ATSCに対してPL法3条・不法行為による損害賠償、主婦の友社と医学博士Cに対して不法行為による損害賠償を請求した
というケースです。
アダプトゲン製薬とASTCが、製造業者、販売業者としてPL法の製造物責任を負うというのは原則通りなので、特に注目する点はありません。
この判例で注目すべき点は、雑誌記事を掲載した主婦の友社の責任の有無と、記事を著した医学博士Cの責任の有無についての判断です。
まず、【主婦の友社の責任】について。
判決は、主婦の友社による記事の掲載については、本件記事が「本件あまめしばにより健康になることはあっても病気になることはないと原告(読者)らに誤信させるに足りる記事であ」ることは認め、「健康増進法上・・・・本件記事は実質的には本件あまめしばの広告にあたり、原告らへの本件あまめしばの販売を促進し、原告(読者)らに本件あまめしば摂取による閉塞性細気管支炎を発症させた」として、違法行為であることは認めています。
しかし、その一方で、「出版社である主婦の友社において、加工あまめしば摂取による重篤な肺疾患発症の予見可能性はなかった」として、「主婦の友社が本件記事により本件あまめしばの販売を促進し、原告(読者)らに本件あまめしば摂取による閉塞性細気管支炎を発症させたことにつき過失はない」として、法的責任は否定しました。
この部分から何が言えるかというと、雑誌記事を掲載する時点で、出版社が記事の内容による違法性の内容について認識していた場合には、出版社に法的責任が発生することを裁判所が認めたということです。
ただ、このケースは、出版社だけで参考になるわけではありません。
この判例からは、通常の企業広告においても、効用などを内容とする広告の場合には、その効用の根拠や、副作用の有無について確認し、副作用などが確認できる場合には、きちんとその内容も広告に表示しなければならない、ということを学ぶことができます。
次いで、記事を著した【医学博士の責任】について。
判例は、医学博士の執筆部分については、主婦の友社の場合と同様に、本件記事が「本件あまめしばにより健康になることはあっても病気になることはないと原告(読者)らに誤信させ、原告らへの本件あまめしばの販売を促進し、原告(読者)らに本件あまめしば摂取による閉塞性細気管支炎を発症させた」として、違法行為であることは認めました。
そのうえで、Cが医学博士であることに着目し、「医師等は、食品の効用を解説する場合には、食品が生命・健康を害する危険性の有無についても、その時点の最高の知識と技術をもって確認し、危険性が存する場合にはこれを指摘し、消費者に警告するなど適宜な措置を講ずべき義務が課されている」との注意義務があることを認め、かつ、Cが医学博士の肩書きで、専門家の立場から野菜あまめしば・加工あまめしばの効用を解説していたことから、「野菜あまめしば・加工あまめしばの摂取により閉塞性細気管支炎が発症する危険性を十分に予見することができた」「その危険を予見できた以上・・・記事を執筆するにあたり、その危険性を警告することが可能であり、原告らの閉塞性細気管支炎の罹患を避けることができた」として、予見可能性や結果回避可能性があったことを認めています。
こうした前提のもと、判例は、Cが「野菜あまめしば・加工あまめしばの摂取と閉塞性細気管支炎との関連性につき有効な調査をせず、警告をしなかったことからすると、予見義務・結果回避義務を尽くしていなかった」として、注意義務違反を認めました。
この部分から何が学べるかというと、「医学博士」という専門家としての肩書きを有する場合には、記事を著すにあたっては、医師が手術する場合と同じような「その時点の最高の知識と技術」にもとづく注意義務が要求されるということと、予見可能性や結果回避可能性は厳しく要求されるということです。
この部分は、企業にとっても同様であると考えられます。
たとえば、自社製品についての記事や広告を掲載しなければならないときには、その会社が老舗で専門家であればあるほど、また専門的な研究所など組織がしっかりしていればいるほど、高度な注意義務と、それに相応した予見可能性や結果回避可能性が要求されるということです。
企業による広告には、景表法の不実証広告の規制もありますが、それと同じように、内容の危険性についての注意義務が課されていることも理解していただきたいと思います。
http://kanpou.npb.go.jp/20080319/20080319g00054/20080319g000540010f.html
4月1日から施行されます。
ただし、事業報告や計算書類とその付属明細については経過規定が設けられています。
弁護士は「個人事業主」なので、収入があろうがなかろうが、確定申告をしなければなりません。
例年のことながら、確定申告期限ギリギリになってから、申告に着手。
土日にやればいいんだろうけれど、こういう後ろ向きの仕事は、せっぱ詰まらないとやる気がわかないので、今日の今日まで机の中に放置していました。
領収書の分類からスタートして、収入の漏れ、支払いの漏れがないかをチェックして、半日がかりの軽作業でした。
毎度のことながら、清貧な生活をしていると(何しろ酒は飲まない&たばこ吸わない&ゴルフもやらないので、接待交際費が極めて少ない)、収入に見合うだけの経費がなかなかなく、去年よりも収入が増えて、経費が減りました。
つまり、単純に、課税対象額&納税額が増えるってことです。
これも個人事業主の定め。
泣く泣く税金納めます。
事件の内容は報道されているところなどを元にまとめると・・・
スルガコーポレーションは、その所有するビルのテナントとの立ち退き交渉をするにあたって、形式的に、スルガコーポレーションが委託先の光誉実業にビルを売却して所有権を移転させ、光誉実業を所有者とするという外観を作り、光誉実業に所有者としての立場でテナントとの立ち退き交渉を行わせ、光誉実業が立ち退きを成功させた場合には、スルガコーポレーションから報酬を支払っていた、とのこと。
非弁行為は、弁護士法72条で禁止されています。
非弁行為というのは、弁護士ではない者が、報酬を得る目的で、訴訟事件その他一般の法律事件に関して、法律事務を行うことです。
今回の事件では、弁護士ではない光誉実業が、スルガコーポレーションから報酬を得る目的で、立ち退き交渉という所有権に基づく建物明渡請求という法律事件を行ったことが、この非弁行為に該当します。
さて、この非弁行為ですが、最近は、弁護士との業種が隣接している司法書士や行政書士が非弁行為まがいのことをやっていることが目立つように感じます。
電車やネットで、司法書士や行政書士が「相続のご依頼はこちらへ」とか「債務整理はこちらまで」とか、そういう広告を出しているのを見たことはありませんか?
そのことです。
司法書士や行政書士の仕事は、司法書士法、行政書士法で厳しく制限されています。
司法書士法では、司法書士の仕事は、登記手続の代理、法務局に提出書類の作成・書類提出手続きの代理、裁判所に提出する書類の作成・相談、簡易裁判所における140万円以下の代理に限定されています。
行政書士法では、行政書士の仕事は、官公署に提出する書類の作成、権利義務・事実証明に関する書類の作成、官公署への書類提出の代理、契約その他の書類の代理人としての作成・相談に限定されています。
これらの規制から何が言えるかというと、
司法書士や行政書士は、相続に関しては、遺産分割した登記手続の書類作成や、戸籍についての手続きの代理はできるけど、個々の相続人の代理として何か手続きを行うことはできない(できるのは司法書士が140万円の範囲内だけ)、ということです。
また、債務整理に関しても、相談に乗ったり、裁判所に提出する破産や民事再生の書類の作成は行っても、破産や民事再生の申立、その後の面接、破産管財や財産管理には手を出せない、ということですし、債権者に対して内容証明を出すことはできるが、債権者が何か言ってきたときには代理人として防波堤になって守ることはできない(できるのは司法書士が140万円の範囲内だけ)、ということです。
「弁護士はお金がかかりそうだから、司法書士や行政書士に相談してみよう」と相談するのはいいですが、司法書士や行政書士では相談と書類作成の代行しかしてもらえないということを良く理解してください。
ま、私の場合、相続も債務整理もやらないので、特に仕事の領域がバッティングするとかないので、いいんですけどね(140万円以下の案件で、相手が司法書士だったというくらい)。
冬は空気が乾燥しているので、2時間のセミナーでも終わった後は、のどがからからです。
今回は、「実効のある内部通報制度の運営と課題」というテーマでした。
出席していただいた方は、一部上場企業の監査室、コンプライアンス統括室などで内部通報制度に携わっている担当者の方々でした。
今回のセミナーでは、内部通報制度をどうやったら従業員に浸透させることができるのかというPR方法の話から、意味のある社内セミナー・社内研修のやり方、社内窓口の運用方法、社外窓口との連携方法、通報があった場合の調査方法の課題、グループ会社の場合の留意点などについて、様々ご説明しました。
幸いにも、私の所属する事務所では、公益通報者保護法が施行される遙か以前の証券不祥事が発生した90年代終盤から内部通報に取り組み、現在では20社ほどの会社の社外窓口を行っています。
そのおかげで、私も弁護士登録してから9年間、内部通報制度には相当関わり、それなりの経験とノウハウを蓄積していたこともあるので、書籍などには書かれていないようなことをかなりお話できたように思います。
セミナー中もみなさんずっとペンを走らせてメモしていらしたので、反応もよかったと思います。
近いうちにテーマを同じくした第2弾を計画していますので、またどうぞよろしくお願いします。
新日本監査法人のプレスリリースはこちら
具体的には、06年2月、監査チームの一員として担当していた大証ヘラクレス上場のサービス業の企業の株式300株を、業務で知った財務情報をもとに売買して約300万円の損失を出したという取引と、07年3月から4月にかけて、東証2部上場の情報通信業の会社の株式261株を信用売買し、35万円の利益を得たという取引とが、インサイダー取引だったとのこと。
いずれの取引も知人の女性の名義を借りて、まんが喫茶のパソコンでネット売買したり、この知人に指示して携帯電話から売買させたりしていたそうです。
公認会計士は、会計監査人として、会社の計算書類や付属明細書の内容を監査する権限があるだけではなく、当然、その監査のプロセスで必要とあれば、社内の会計書類諸々をすべて見ることができます。
その意味で、会社の財務部の担当者以外では、その会社の財務状況をもっとも容易に知りうる立場にいます。
そうした立場にいる以上、プロとして職業倫理としてインサイダー取引には厳しく接していなければならなかったはずです。
それなのに・・・正直、絶句です。倫理観を疑います。
ちなみに、これ以外にも公認会計士が逮捕されるに至ったケースは、次の通りです(フジサンケイビジネスアイより引用)。

さて、今回の記事で、もう一つ注目すべき点があるとすれば、調査をしている主体が「検察庁」などの捜査機関ではなく、「SESC」であるという点です。
ここでは、証券取引の監視体制について説明しておきたいと思います。
現在、証券取引の監視体制は、「証券取引所による売買審査」と「SESCによる取引審査」との2本立てで行われています。
SESCでは、株価が急騰・急落した銘柄、投資家の投資判断に著しい影響を及ぼす重要事実が発生した銘柄、マスコミ・ネット上で話題になっている銘柄、一般からの情報に基づいて、ある銘柄をピックアップして、監視を行っています。
SESCは、これらの銘柄を監視するだけではなく、犯則嫌疑者や参考人に対する質問(事実上の取り調べ)、物件検査、捜索差押えなどをする権限を持っています(犯則調査といいます)。
こうした調べの結果、犯則の心証を得たときには、今回の事例のように、検察庁に告発する、という流れです。
「SESCの活動状況平成19年版」によると、実は、この告発件数は年々増加しています。
平成12年5件→13年7件→14年10件→15年10件→16年11件→17年11件→18年13件です。
このうちインサイダー取引で告発されたのは、平成12年は5件中2件、13年は7件中3件、14件中は10件中5件、15年中は10件中6件、16年は11件中6件、17年は11件中5件、18年は13件中9件です。
この数字からわかることは、年々インサイダー取引に対する監視は厳しくなっているということです。
このことが、今回のSESCによる告発につながったと考えることもできます。
金融商品取引法の改正に先立って、SESCの犯則調査権限が強化されていることからも(新しく通信・郵便物に対する差押えが認められた)、今後も、SESCによるインサイダー取引の監視は厳しくなっていくことが予想できます。
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