戦う企業法務弁護士 RETURN

ビジネス法務の最前線に立つ企業法務弁護士浅見隆行が、日々の企業活動に役立つ法律情報を提供・分析するブログ(blog)

著作権侵害

2年前から、毎月1回、土曜日に知的財産マネジメント研究会(略称、SMIPS)という勉強会を、六本木の新国立美術館の隣にある政策研究大学院大学という大学で行っています。

主に、知的財産に関心のあるビジネスマンや、ロースクールの学生などを対象にした研究会で、文科省のモデル事業でもあります。

僕は、この研究会の中で、Law and Practice分科会という、要は知的財産法の演習ゼミを担当しています。

ゼミでは、毎回、僕がある事例(過去の判例をベースにしたもの)を渡して、その場で、原告側と被告側に別れて、事例を読んでもらい各当事者の立場から言い分を主張してもらう、っていう進め方をしています。

さて、先週の土曜日は、著作権侵害をテーマにした事例研究を行いました。

今回の事例研究では、「著作権侵害」と一口で言っても、著作権法には「著作権」という権利はないことをまず理解してもらった上で、実際のケースでいわゆる著作権侵害を争うときには、どんな権利でどう争うかという基本部分を理解してもらう、ということを狙いにしていました。

まとめとして説明したことは・・・

1.同一or類似著作物の著作権侵害を争う場合には、そもそも自分の作品が「著作物」に該当するのかという点をスタートにすること
2.著作物に該当したら、同一or類似著作物の著作権を争う場合には、著作物の複製権と翻案権とが問題になること
3.複製権と翻案権とは二者択一の関係にあるということ(複製権のポイントは「内容と形式の同一性」、翻案権のポイントは「本質的同一性」にあるということ)
4.氏名表示権、同一性保持権は、複製権、翻案権の各権利の裏腹の権利として表裏一体で問題になるということ
4’.複製権、翻案権、氏名表示権、同一性保持権の関係で、「引用」の問題がでてくということ
5.侵害というためには「依拠」しているという条文に書かれていない要件が必要であること


という教科書を読めば一通り書かれていることを、各権利相互の論理関係を理解してもらいながら説明しました。

教科書には権利相互の論理関係についてはほとんど書かれていないので、この論理関係を理解してもらえただけでも意味があるかな、と。
論理関係を頭で理解してもらえれば、著作権法の条文1つ1つがバラバラではなく、つながって理解してもらえるはずですし、時間が経っても忘れませんからね。

先週は、そんなことをやってみました。

もし、著作権侵害の判例を読み込むときがあったら、ここに書いた論理関係を念頭に入れながら読むと理解しやすいと思います。

PageTop

特許の検索方法

特許を出願するためには、今さら言うまでもなく「新規性」が必要です。

新規性がない特許出願をした場合には、拒絶査定されてしまいます。

特許出願が拒絶されてしまった場合に一番ダメージを受けるのは、すでに公開公報で特許出願の内容は世の中に広く知られ、その上、権利として守ることもできなくなる、しかも、「特許として」だけではなく「企業秘密として」も守ることができなくなってしまうということです。

そうだとすると、特許出願をする前に最も重要な手続きは、従来技術等の調査です。

ただ、この従来技術等の調査が、一番困難を伴います。

自分たちでは十分調査したつもりだったのに、特許庁からは従来技術等の存在を指摘され、「特許庁はどうやって調査したんだろう?」と思うこともあります。

そうした実務の現場の声に基づいて、特許庁は、従来技術等の調査のノウハウを「特許検索ガイドブック」として公開しています(公開していること自体、あまり知られていませんが)。

参考になるので、活用してください

「特許検索ガイドブック」はここをクリック

PageTop

知的財産マネジメント研究会

私が中島経営法律事務所に入ってから、6年間一貫して担当してきた業務の一つが知的財産法にかかわる業務です。

仕事の中心は、商法・会社法、危機管理・情報管理がメインではありますが、知的財産法にも力を注いでいます。

その一環として、この4月から「知的財産マネジメント研究会」という勉強会の中の「Law and Practice 分科会」のオーガナイザーを担当することになりました。

「知的財産マネジメント研究会」というのは、2000年4月から始まった、政策研究大学院大学政策研究科の隅蔵康一助教授と東京大学先端科学技術研究センターの西村由希子助手を総合オーガナイザーとする勉強会で、文部科学省の21世紀型産学連携モデルプログラム事業として実施されている勉強会です。

元々は大学・大学院の理工系の学生などを中心とした研究会だったようですが、今は多くの企業や大学の知的財産担当者などが中心になっているようです。

今日は、政策研究院大学で、その第1回「Law and Practise 分科会」を行い、さらに、研究会全体に対して「共同研究開発契約の契約上の注意点と実務」という点からセミナーを担当させていただきました。
次回、以後、基本的に隔月で分科会を開催し、知的財産に関するケーススタディを行う予定です。

ちなみに、参加は無料で予約も要りませんし、難しい知的財産の法解釈を行うわけではないので、法律知識がゼロの方でも構いません。
2か月に1回、土曜日の昼に乃木坂にある政策研究院大学で知的なひとときを過ごしてみるのもいいですよ。きっと財産になりますよ。

PageTop

改正特許法、職務発明制度。青色LED訴訟の影響。

1.青色LED訴訟

青色発光ダイオード(青色LED)の発明者が元勤務先企業に対して、職務発明に関する「対価」を求めていた訴訟は、1月11日に、東京高裁で和解が成立しました。

和解の内容は、元勤務先企業が発明者に職務発明の「対価」として約6億800万円(遅延損害金を含め合計約8億4000万円)を支払う、というものです。

マスコミ等では、この訴訟が職務発明の「相当の対価」の先例として重要な地位を占めるという趣旨で報じられています。また、専門家の中にも、そのような趣旨のコメントをされている方もいらっしゃいます。

しかし、私は、この訴訟が職務発明に関して、それほど重要な先例的意味を有するとは思いません。というのは、職務発明と「対価」の関係を定めている特許法35条が平成16年5月28日に改正され、平成17年4月1日から施行されるからです。
PageTop